第1章:ホテル・旅館業界におけるM&Aの重要性
- 1-1. 観光立国としての日本とホテル・旅館業界の現状
- 1-2. なぜホテル・旅館業界でM&Aが必要なのか
- 1-3. M&Aを通じたホテル・旅館業界の未来
- 2-1. M&Aの定義と種類
- 2-2. ホテル・旅館業界特有のデューデリジェンス項目
- 2-3. 価格算定とバリュエーションの考え方
- 3-1. サービス概要と特徴
- 3-2. 運営会社:株式会社M&A Do
- 4-1. 売り手手数料ゼロの背景
- 4-2. 売り手にとってのメリット
- 5-1. 事前相談・無料査定
- 5-2. 買い手探索とマッチング
- 5-3. デューデリジェンスと価格交渉支援
- 5-4. 契約締結・クロージング後のフォローアップ
- 6-1. 業界特有の法規制や運営ノウハウに熟知
- 6-2. 施設運営経験者のコンサルタントが在籍
- 6-3. 地域観光資源とのシナジー追求
- 7-1. 相談からクロージングまでのステップ
- 7-2. 成功させるためのポイント
- 8-1. 地域老舗旅館の事業承継事例
- 8-2. 都市型ビジネスホテルの拡大事例
- 10-1. 「ホテル・旅館業界M&A総合センター」を活用する意義
- 10-2. 今後のホテル・旅館業界M&Aの展望
- 10-3. 最後に:M&Aは新たな未来を切り開く手段
1-1. 観光立国としての日本とホテル・旅館業界の現状
日本は観光立国を目指してさまざまな施策を打ち出しており、インバウンド需要に支えられる形でホテル・旅館業界は近年大きな変革を迎えてきました。世界各国からの訪日観光客数は2019年に3,188万人を超え、コロナ禍前までは連年で過去最高を更新し続けていました。さらに外国人旅行者の増加に伴い、国内のホテル・旅館施設や旅行関連サービスの需要は拡大し、サービス品質の向上や施設リニューアル、新規開業などが活発化していた時期があります。しかし、新型コロナウイルスの蔓延により世界規模で観光需要が落ち込み、経営状況が厳しくなる事業者が増えたことも事実です。
コロナ禍を経て、社会全体がwithコロナのフェーズにシフトしつつある今、ホテル・旅館業界は再び国内外の旅行需要の取り込みを期待できる局面に差し掛かっています。実際、制限緩和やワクチン普及に伴う国内旅行需要の復活、国境を越えた移動制限の緩和により、海外からの観光客も徐々に戻り始めています。こうした状況下で、ホテル・旅館業界では新たなサービスや施設、リニューアル投資を進める動きが加速する一方、投資余力や後継者不足などの問題を抱え、経営上の判断を迫られる事業者も少なくありません。
ここで注目されるのがM&A(Mergers and Acquisitions)の活用です。企業・事業の買収や合併は、事業拡大・事業承継・新規参入など多岐にわたる目的で利用される手法として一般化しつつあります。特にホテル・旅館業界では、施設ごとの特色やブランド力を生かした買収戦略、地域観光資源とのシナジー創出など、さまざまな形でM&Aが検討されるようになっています。
1-2. なぜホテル・旅館業界でM&Aが必要なのか
ホテル・旅館業界においてM&Aのニーズが高まっている背景には、大きく以下のようなポイントが挙げられます。
- 事業承継問題
伝統ある老舗旅館や地域密着型のホテルなどでは、オーナーの高齢化に伴い後継者不足が深刻化しています。家族経営を続けてきた中小旅館では、次世代にバトンを渡す人材がいないため事業そのものを畳まざるを得ないケースが増えており、地域観光資源の喪失につながる懸念が強まっています。M&Aによって事業承継が円滑に行われれば、後継者不在の課題を解決し、今まで培ってきた経営資源を継続・発展できる可能性が高まります。 - コロナ禍による経営環境の悪化
コロナ禍によって宿泊需要が激減した際、体力のある大手チェーンや公的支援を受けやすい企業は何とか凌いだものの、小規模事業者の中には深刻なダメージを受けたところも少なくありません。資金繰りが苦しく、撤退を余儀なくされるケースが増えると共に、買い手側にとっては安価に優良資産を取得できるチャンスと捉えられる側面もあります。M&Aによって経営の立て直しを図る手法は、有効な選択肢の一つとなっています。 - 投資効果の高い施設・エリアへの注目
コロナ以降も一定の需要が期待される観光地や、インバウンド需要が見込まれる主要都市などでは、外資系企業や国内大手が積極的に買収や投資を検討しています。特に温泉地や自然景観の魅力が高い地域は、コロナを機に「近場観光」「ワーケーション」など新たな観光トレンドが形成されており、投資魅力を増しています。こうした施設が売りに出れば、比較的高値での売却が見込める可能性も高く、経営者にとってはM&Aは魅力的な選択肢となるでしょう。 - 地域連携やブランド強化に伴う買収需要
地域全体で観光力を高めようとする動きが活発化しており、DMO(観光地域づくり法人)や地方自治体も、施設や観光資源を一元的にブランディングしたいというニーズを強く持っています。その過程で、地域内施設同士や異業種との連携を図るためにM&Aが活用されるケースが増えているのです。
1-3. M&Aを通じたホテル・旅館業界の未来
ホテル・旅館業界のM&Aが盛んになることで、経営者側にとってはより柔軟な事業継続や撤退、もしくはグループ化によるスケールメリットの享受など、多様な戦略を選択しやすくなります。一方、買い手側にとっては、稼働率やリピート率の高い施設を獲得することで短期間に事業拡大を図れるメリットがあります。
しかし、M&Aには必ずしもメリットだけでなく、施設の個性や地域特性を活かすためのシナジー効果を念入りに検討しなければ、統合後に期待された効果が出ないリスクも存在します。また、地域の住民や従業員との軋轢を避けるため、丁寧なコミュニケーションやアフターサポートが欠かせません。そうしたリスクを最小化し、正しい意思決定を行うためにも、業界に精通し専門知識をもったM&A仲介業者のサポートが重要になってきます。
第2章:ホテル・旅館業界におけるM&Aの基礎知識
2-1. M&Aの定義と種類
M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略で、企業の合併・買収を意味します。ホテル・旅館業界におけるM&Aには、企業単位での合併・買収だけでなく、特定の旅館施設やホテルブランドの売買、事業譲渡など、さまざまな形態が含まれます。一般的なM&Aの手法としては、以下のようなものがあります。
- 株式譲渡
事業者の発行済株式を買い手が取得することで経営権を掌握する手法。オーナーが保有する株式を売買する形となるため、手続きが比較的シンプルで、法人格や許認可、従業員の雇用契約などがそのまま引き継がれるのが特徴です。 - 事業譲渡
法人が営む特定の事業部門や資産のみを譲り受ける形態。不要な負債や事業を除外して必要な事業・資産だけを買収できるメリットがありますが、許認可の取り扱いや契約の引き継ぎなど、手続き面が株式譲渡より煩雑になりやすい側面があります。 - 合併(吸収合併・新設合併)
既存法人が他の法人を吸収する「吸収合併」と、複数の法人が新たに設立する法人へ統合する「新設合併」があります。国内のホテル・旅館業界では、グループ再編や関連会社の統合などで活用されるケースがあるものの、株式譲渡や事業譲渡よりは事例が少ないといえます。 - 株式移転・株式交換
グループ企業再編や完全子会社化を目的として、株式移転や株式交換を行うこともあります。ホテル・旅館業界ではあまり一般的なスキームではありませんが、大手ホテルグループや関連事業を複数抱える企業体で、グループ再編が必要となる場合に活用されることがあります。
2-2. ホテル・旅館業界特有のデューデリジェンス項目
M&Aにおいては、買い手側が売り手側の事業価値やリスクを精査するデューデリジェンス(DD)が欠かせません。ホテル・旅館業界ならではのデューデリジェンス項目として、以下が挙げられます。
- 不動産・建物の状況調査
宿泊施設の根幹となる不動産資産がどのような状態にあるかを詳細に把握する必要があります。耐震性・衛生管理・消防法令に関する適合状況、リニューアルの履歴や修繕計画などが重要です。建物の老朽化が進んでいる場合は、大規模改修や建て替え費用が後々に発生する可能性があるため、それを含めた価格交渉が必要になります。 - 温泉権利や地域資源の利用権利
旅館であれば温泉水の利用権利、ホテルであればブランド使用権やフランチャイズ契約など、地域資源やブランド権利が事業の価値を支えます。これらがどのような契約形態で、譲渡可能かどうか、契約期間や更新条件などはDDで必ず確認すべき項目です。 - 稼働率・客単価などの営業指標
ホテル・旅館業の収益力を示す稼働率やADR(平均客室単価)、RevPAR(客室稼働率×ADR)などの指標を詳細に分析します。直近数年間の推移や季節変動、予約サイトの評価・口コミ、顧客属性なども含めて精査し、将来の収益見通しを立てます。 - 従業員の雇用形態と人材リスク
ホテル・旅館業界はサービス業であり、スタッフのホスピタリティやスキルが顧客満足度に直結します。従業員の雇用形態や離職率、教育体制、接客マニュアルの整備状況などを確認することが欠かせません。買収後の人員配置や教育コストをどのように考慮するかは、事業継続に大きく影響する要素となります。 - 地域住民や自治体との関係
旅館やホテルは地域の観光資源と密接に関わります。地元住民との協力体制、自治体や観光協会との連携、補助金や助成金の活用状況などは、M&A後に施設を運営するうえで大きな意味を持ちます。買い手が地域の文化や慣習を無視した経営を行うと、顧客離れやコミュニティからの反発を招くリスクがあるため、事前の調査が重要です。
2-3. 価格算定とバリュエーションの考え方
M&Aにおける買収価格の決定は、企業価値評価(バリュエーション)に基づいて行われます。ホテル・旅館業界特有の評価としては、以下のポイントが考慮されます。
- DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)
将来のキャッシュ・フローを割引率で割り引いて現在価値を算定する方法です。ホテル・旅館業の収益は宿泊需要や季節変動などで変化しやすいため、将来の売上予測を立てる難易度は高いですが、最も理論的な評価方法として重視されます。 - 不動産評価
ホテルや旅館は土地・建物の価値が大きな比重を占めるケースが多いため、不動産価値の評価が重要な要素となります。立地条件や周辺の不動産市況、ホテルとしての用途価値なども加味して評価します。 - EBITDA倍率法
稼働率や客単価などを踏まえた運営利益(EBITDA)に倍率(マルチプル)を掛けて企業価値を算出する方法。ホテル・旅館業界では運営利益が比較的明確に把握できる場合が多いため、DCF法と並行して用いられることが一般的です。 - 類似取引比較法
同業種・同規模の過去のM&A取引事例を参考にしながら、相対的に評価する手法です。地域や業態の差異を十分に考慮する必要があるものの、市場感を把握する指標として用いられます。
買い手・売り手の事情によっては、単純に理論評価だけでなく、シナジー効果やブランド力、将来的な投資計画などを考慮した価格交渉が行われるのが通常です。例えば、買い手がすでに近隣地域で別のホテルを運営しており、集客の相乗効果が大きいと予想される場合には、相場以上の金額でも取得を検討するケースがあります。
第3章:ホテル・旅館業界M&A総合センターの概要
3-1. サービス概要と特徴
「ホテル・旅館業界M&A総合センター」は、ホテル・旅館業界に特化したM&A仲介サービスです。その最大の特徴は、「売り手から仲介手数料を取らない」という点にあります。一般的なM&A仲介会社では、買い手・売り手の両方、あるいは売り手側から成功報酬形式で仲介手数料を徴収するのが一般的です。しかし、本センターでは売り手の負担を大幅に軽減し、安心してM&A相談を行っていただくために、売り手手数料をゼロとしています。
これには、「経営者の事業承継や撤退意思を尊重し、費用面のリスクなく相談しやすい環境を整えたい」という運営方針が反映されています。一方で、買い手側からは適正な範囲で仲介報酬を頂戴し、売り手・買い手双方のスムーズなマッチングと交渉支援を実現しているのが特徴です。
3-2. 運営会社:株式会社M&A Do
「ホテル・旅館業界M&A総合センター」を運営するのは、株式会社M&A DoというM&A業務専門の企業です。M&A Doは、各業界におけるM&A仲介業務の実績や専門家ネットワークを活かし、特にホテル・旅館業界をはじめとする観光・サービス業に強みを持っています。多くの業種を横断的に扱う大手総合M&A仲介会社とは異なり、よりニッチで専門性の高い案件をサポートし、現場目線での丁寧なコンサルティングを行うことを強みとしています。
M&A Doのミッション
M&A Doは、「事業に関わるすべての人々が納得できるM&Aを実現する」ことを企業理念とし、ただ単に売買をまとめるだけでなく、事業譲渡後の運営や地域の発展、人材の活躍に至るまで配慮したサポートを心がけています。特にホテル・旅館業界では、施設スタッフの雇用の安定や既存顧客の満足度維持を重視する経営者が多いため、綿密なヒアリングと慎重なマッチングを行います。
専門家ネットワークとサポート体制
M&A Doは会計士や弁護士、不動産鑑定士、建築士など多様な専門家との連携を強化しており、M&A検討時のデューデリジェンスや契約書作成、不動産評価などをワンストップで提供できる体制を整えています。また、観光協会や自治体、金融機関とも連携し、事業承継や経営再建に向けた補助金・助成金情報の提供なども行い、単なるM&A仲介にとどまらない幅広いサポートを実施しています。
第4章:売り手から手数料を取らない理由とそのメリット
4-1. 売り手手数料ゼロの背景
通常、M&A仲介会社は売買金額に応じて成功報酬を徴収するシステムを採用しており、売り手・買い手の双方から仲介手数料を受け取る形が広く一般化しています。これは、仲介会社が膨大な資料作成や交渉、デューデリジェンスの調整など、多岐にわたる業務を担うため、その対価として正当性があるものです。
しかし、「ホテル・旅館業界M&A総合センター」では、あえて売り手からの手数料をゼロとしています。その背景には、以下のような考え方があります。
- 事業承継のハードルを下げる
ホテル・旅館業界の経営者の中には、後継者不在や資金繰りの問題から事業継続を断念せざるを得ないケースが増えています。しかし、仲介会社に相談するだけでも高額な着手金や成功報酬がかかると尻込みしてしまい、最終的に廃業を選択する場合も少なくありません。売り手手数料をゼロにすることで、経営者が気軽にM&Aを検討し始められるよう、ハードルを下げる狙いがあります。 - 「売りたい人を救う」姿勢の強調
M&A仲介会社の中には、どうしても大手企業の買収案件や高額案件を優先するあまり、中小規模の旅館やホテルの案件を後回しにするケースもあります。売り手としては、自社がどの程度の価値で売れるのかわからず、まずは相談だけしたいという段階があるはずです。そこで売り手にとって費用リスクのない仕組みを提供することで、「誰でも相談できる」という姿勢を示しているのです。 - 買い手サイドの需要が高まっている
一方で、ホテル・旅館業界を取り巻く投資熱や買い手の意欲は高まっています。そのため、買い手企業の紹介やデューデリジェンスのコーディネートなどを中心に、買い手側からの報酬でも十分にビジネスが成立する見通しがあると判断していることも理由の一つです。とくに資本力のある企業や投資ファンドは、良質な案件を早期に獲得したいというニーズが強く、仲介サービスに対して適正な報酬を支払う傾向が高いのです。
4-2. 売り手にとってのメリット
売り手から手数料を取らない仕組みは、売り手経営者にとって以下のようなメリットがあります。
- 初期費用の負担がない
M&Aを検討する段階から仲介会社に依頼すると、着手金やリテイナーフィーなどの負担が発生する場合が一般的です。しかし、本サービスでは売り手側からの手数料を一切取らないため、経営者は無駄なコストをかけずに事業売却の相談ができます。 - 売却価格を最大化するインセンティブ
仲介会社にとっては買い手側からの成功報酬が主な収益源となるため、売却をスムーズに進めるインセンティブが働きます。しかし、仲介業者が売り手から報酬を受け取らないからといって、売り手に不利になるわけではありません。なぜなら、買い手側からの報酬も最終的には売却額や企業価値にリンクしているからです。売り手が適正以上に安価で売却されてしまうようなことはなく、仲介としては両者に納得感のある価格を追求します。 - 交渉をプロに任せられる安心感
M&Aの手続きや書類作成、デューデリジェンスの対応などは非常に複雑です。専門用語や契約内容に詳しくない経営者にとっては、大きな精神的負担となります。手数料ゼロであっても、仲介会社が丁寧にサポートしてくれるため、安心して本業や引き継ぎ準備に集中できます。
第5章:ホテル・旅館業界M&A総合センターが提供する主なサービス
5-1. 事前相談・無料査定
売り手が最も不安に思う点の一つが、「自社(自旅館・自ホテル)がどの程度の価値で売却できるのか」というところです。「ホテル・旅館業界M&A総合センター」では、経営者からの事前相談を無料で受け付け、簡易的なバリュエーションや事業可能性のアドバイスを行っています。
- 無料査定レポート: 決算書や施設情報、稼働率・客室単価などの基本的なデータをもとに、概算の企業価値や売却可能性を提示します。
- スキーム提案: 株式譲渡・事業譲渡のどちらが適しているのか、タイミングや市場動向なども含めた最適なM&Aスキームを提案します。
5-2. 買い手探索とマッチング
ホテル・旅館業界特化の仲介として、国内外の投資家や事業会社、大手グループ企業とのネットワークを豊富に持っています。買い手がどういった地域や施設形態を求めているのか、投資方針や予算規模などを把握したうえで、売り手に合った買い手を探し出すマッチングを行います。
- 買い手ニーズの分析: 都市型ホテルを中心に拡大を狙う企業か、地域の温泉旅館を探す投資ファンドかなど、買い手の多様なニーズを踏まえた調整。
- トップ面談のセッティング: 売り手・買い手の互いの意向や事業ビジョンをすり合わせるため、トップ面談を円滑にセッティングし、商談をサポート。
5-3. デューデリジェンスと価格交渉支援
買い手が決定したら、デューデリジェンスや価格交渉が本格化します。本センターでは専門家と連携し、施設の不動産評価や財務調査などをスムーズに実施します。売り手にとっては買い手からの質問や追加書類の依頼に迅速に対応することが求められますが、そのサポートも行います。
- スケジュール管理: デューデリジェンスの全体スケジュールを管理し、必要書類の取得や情報開示をサポート。
- 最終譲渡契約の交渉: 価格や譲渡範囲、従業員の雇用条件など、重要項目の交渉においては専門家と共に経営者をサポートし、売り手の意向が適切に反映されるよう調整します。
5-4. 契約締結・クロージング後のフォローアップ
最終契約を締結し、クロージング(譲渡実行)を迎えた後も、事業引き継ぎや経営体制の移行には時間がかかります。本センターは単に契約をまとめるだけでなく、クロージング後のフォローアップにも力を入れています。
- 従業員・地域への説明サポート: 従業員や取引先、地域住民に向けた説明資料の作成や説明会の開催を支援し、トラブルを未然に防止します。
- 経営体制移行のバックアップ: 経理・総務システムの統合や人事評価制度の導入、ブランド統合など、買収後に発生する課題へのコンサルティングも可能です。
第6章:ホテル・旅館業界に特化するメリットと専門性
6-1. 業界特有の法規制や運営ノウハウに熟知
ホテル・旅館業界には、旅館業法や消防法、衛生管理基準など、特有の法規制が多数存在します。さらに温泉を扱う場合は温泉法や地熱資源開発関連法令など、一般的なサービス業とは異なる深い知識が必要となります。「ホテル・旅館業界M&A総合センター」では、こうした業界固有の規制に通じた専門家を多く抱えているため、必要書類の整備や行政対応のアドバイスなどがスムーズに行えます。
6-2. 施設運営経験者のコンサルタントが在籍
M&A仲介会社の多くは金融出身やコンサルティングファーム出身者を中心に構成される場合が多いですが、「ホテル・旅館業界M&A総合センター」には、実際にホテルや旅館の運営経験を持つコンサルタントも在籍しています。現場のオペレーションや顧客対応の課題を深く理解しているため、買い手・売り手の具体的な悩みや要望を的確に把握し、交渉やアドバイスに反映することができます。
6-3. 地域観光資源とのシナジー追求
ホテル・旅館業界のM&Aでは、単に「施設を売買する」だけでなく、「地域の観光資源とどのようにシナジーを創出するか」が大きなテーマとなります。たとえば、地元の食品生産者や観光アクティビティ事業者との連携、地域限定の宿泊プランやイベント企画など、地域全体を巻き込んだ事業展開が求められます。本センターは自治体や観光協会などとのネットワークを活かし、売却後の経営戦略にも踏み込んだ提案を行うことで、買い手の満足度と地域経済の活性化を同時に追求します。
第7章:M&Aの流れとポイント
7-1. 相談からクロージングまでのステップ
- 事前相談・情報収集
経営者が自社の状況や将来の方向性を整理し、本センターに無料相談を実施。売却価格の目安や売却スキームの可能性を検討する。 - 売り手企業の評価・書類作成
財務諸表や施設情報、従業員構成、営業指標などを整理し、買い手に示すための資料を作成。必要に応じて簡易的なDDを実施。 - 買い手探索・マッチング
本センターのネットワークを活かし、対象施設に興味を持つ可能性がある企業やファンドに打診。秘密保持契約(CA)を結んだ上で情報を開示し、興味があればトップ面談に進む。 - 基本合意(LOI)の締結
買い手が買収の意思を固めたら、基本的な条件(価格帯や譲渡スキーム、スケジュールなど)をまとめた基本合意書(LOI)を締結。法的拘束力は限定的だが、双方の方向性を明確にする役割を果たす。 - 本格的デューデリジェンス
買い手が専門家を連れて財務・税務・法務・ビジネスなどの総合的なDDを実施。施設の状態や従業員契約、地域との関係性などを詳しく調査し、最終的な買収条件を詰める。 - 最終譲渡契約の交渉・締結
DDの結果を踏まえた価格交渉や契約内容の調整を行い、売り手・買い手・仲介会社が合意した段階で最終契約を締結。必要に応じて公的手続きや金融機関との調整も行う。 - クロージングと経営移行
売却代金の支払いと株式(または事業)の引き渡しが行われ、M&Aが正式に成立。クロージング後は買い手が新たな経営体制を整え、従業員や地域への説明を進める。
7-2. 成功させるためのポイント
- 売り手の情報開示を正確かつタイムリーに行う
デューデリジェンスの段階で情報が不十分だったり、後出しで問題が発覚すると、買い手の信頼を失い、契約破談につながるリスクが高まります。 - 施設の強みと地域の魅力をわかりやすくアピール
ホテル・旅館の集客力や顧客満足度、地域の観光資源をどう活かしているかを明確に示すことで、買い手に対して価値をアピールしやすくなります。 - 従業員や地域コミュニティへの配慮
経営者の交代により、従業員が不安を感じたり、地域住民が反発する可能性もあります。買い手・売り手が共に地域との協調姿勢を見せ、誠意ある説明を行うことが大切です。
第8章:実際の事例と成功パターン
ここでは、架空の事例を用いて「ホテル・旅館業界M&A総合センター」のサポートがどのような成果をもたらすかをイメージしてみます。
8-1. 地域老舗旅館の事業承継事例
ケース概要: 地方都市の老舗温泉旅館(A旅館)は創業50年以上の歴史があり、地域内でも一定の知名度があった。しかし後継者不在により、オーナーが廃業も検討していた。旅館の老朽化が進み、大規模修繕の必要性を感じつつも資金繰りに余裕はなかった。
M&Aの経緯:
- A旅館のオーナーが「ホテル・旅館業界M&A総合センター」に無料相談を実施。老舗旅館としてのブランド価値や地域での認知度、常連客の存在などを考慮し、一定の売却価値があると判断。
- 無料査定の結果、複数の買い手候補が現れる可能性が高いことがわかり、正式に売り手企業として登録。
- 本センターのネットワークを活用し、同地域でリゾートホテルを既に運営しているB社が興味を示す。B社は温泉旅館の取得で地域観光資源を拡充したい意向があり、トップ面談を実施。
- DDを経て、古き良き温泉文化を残しつつ、客室の改修と設備投資を行う計画が示され、A旅館オーナーも地域経済への貢献を重視するB社のビジョンに共感。
- 最終譲渡契約締結後、B社の資本力を活かしてリニューアルを進め、老舗の魅力を維持しながら新たな客層獲得に成功した。
成功ポイント:
- 売り手に手数料負担がないため、老舗旅館のオーナーが気軽に相談できた。
- 本センターが地域や業界に精通していたため、買い手の意向と旅館の強みをうまくマッチングできた。
- 買い手がリニューアル後の具体的な計画を提示し、従業員の雇用維持と地域観光振興に配慮する姿勢を見せたことで、スムーズな合意に至った。
8-2. 都市型ビジネスホテルの拡大事例
ケース概要: 首都圏の主要駅近くに立地するCホテルは、ビジネス客や観光客の利用で稼働率が高く、一定の黒字経営を維持していた。しかしオーナーが不動産開発事業へ専念するため、ホテル事業からの撤退を検討。施設の稼働は好調であり、市場価値の高い案件だった。
M&Aの経緯:
- Cホテルのオーナーはより高い売却価格を求め、数社の仲介会社に相談したが、手数料の高さを懸念し、最終的に売り手手数料ゼロの「ホテル・旅館業界M&A総合センター」に依頼。
- 本センターが買い手候補としてD大手ホテルチェーンや外資系投資ファンドなどに打診。複数の買収オファーを取り付ける。
- 各候補と条件面の交渉を行い、最も提示条件が良かったEファンドとの基本合意に至る。Eファンドは施設改装やリブランドによりさらなる価値向上を目指す方針を持っていた。
- 短期間でデューデリジェンスが行われ、最終譲渡契約を締結。Cホテルオーナーは想定以上の売却益を得て本業に集中できるようになり、Eファンドも施設改装後にブランドイメージを刷新し、宿泊単価と収益率を向上させた。
成功ポイント:
- 手数料ゼロで相談できるため、売り手は最初から高額売却を前提に複数の買い手候補を競合させる戦略を取れた。
- 本センターは業界ネットワークを活かして、大手ホテルチェーンやファンドなど幅広い買い手候補をすぐに紹介できた。
- 売り手にとっても短期間での譲渡が希望だったため、スピーディーな交渉とDDを実現し、買い手サイドの満足度も高かった。
第9章:よくある質問(FAQ)
Q1. 売り手から本当に手数料はかからないのですか?
A. はい、当センターでは売り手からの仲介手数料は一切いただいておりません。初期相談や簡易査定も無料で実施しています。
Q2. 売り手手数料ゼロだと、買い手に有利な仲介をされるのでは?
A. そのような心配はございません。買い手からの仲介手数料は確かに当センターの収益源ですが、売り手が適正価格を得られないと買い手も満足しない結果となり、M&A自体が成立しないリスクが高まります。私たちは売り手・買い手の双方が合意できる条件を模索し、適正な価格・スキームでの成約を目指しております。
Q3. 中小規模の温泉旅館でも取り扱ってもらえますか?
A. もちろん可能です。老舗旅館から小規模施設まで幅広く対応しております。地域の観光資源としての価値や常連客との関係などを含め、丁寧に評価し、最適な買い手候補を探します。
Q4. 都市型ビジネスホテルを複数運営しているのですが、複数施設を一括で売却することもできますか?
A. 一括譲渡も可能です。ポートフォリオとしてまとめて買いたいという投資家やファンドも多数おりますので、一括売却の方が高いシナジーやブランド力を評価してもらえるケースもあります。
Q5. クロージング後も従業員の雇用は守られますか?
A. 買い手との交渉時に、従業員の雇用維持を求める条件を盛り込むことは十分可能です。ホテル・旅館業界ではスタッフの経験やノウハウが重要なので、多くの買い手も雇用継続に前向きです。
Q6. 地方銀行などからもM&Aを勧められていますが、どちらが良いのでしょう?
A. 地方銀行の斡旋も一つの選択肢ですが、広範な買い手ネットワークや業界特有のノウハウを求めるのであれば、業界特化の仲介会社の方が有利な場合が多いです。どのようなスキームや買い手を希望するか、ご相談いただければアドバイスいたします。
第10章:まとめと今後の展望
10-1. 「ホテル・旅館業界M&A総合センター」を活用する意義
ホテル・旅館業界は、新型コロナウイルスの影響や観光需要の変動に大きく左右されながらも、今後もインバウンド回復や国内旅行需要の高まりによって成長が見込まれる分野です。そんな中、事業承継や撤退、設備投資の資金確保など、経営者がM&Aを検討する理由は多岐にわたります。一方で、適切な買い手が見つからなかったり、M&Aの手数料コストを懸念して相談をためらったりするケースも少なくありません。
「ホテル・旅館業界M&A総合センター」は、売り手からの仲介手数料をゼロとすることで、こうした経営者のハードルを下げ、誰でも気軽にM&Aの可能性を探れる体制を整えています。運営会社の株式会社M&A Doは、観光・サービス業に強いネットワークと実務経験を活かし、買い手・売り手双方にとって納得度の高いM&Aを実現することをミッションとしています。
10-2. 今後のホテル・旅館業界M&Aの展望
- 国内需要の多様化: ワーケーションやリモートワークの普及により、観光だけでなく仕事や長期滞在需要にも対応できる施設が注目されています。こうした施設のM&Aが増えると予想されます。
- インバウンド需要の回復: 世界的な移動制限が緩和されると共に、アジアを中心に外国人観光客が再び増加する見通しです。訪日旅行客の受け入れに強いホテルや地域は高い投資価値を持つため、M&Aの活性化が期待されます。
- ESG投資や地方創生の観点: 地域経済の持続可能性や環境への配慮、伝統文化の継承など、ESGの視点から観光業に投資するファンドや企業が増えており、地方旅館のM&Aが盛んになる可能性があります。
- 業界再編とブランド統合: 大手チェーンによるブランド統合が進み、中小規模の施設を買収して一貫したサービスを提供する動きが続くでしょう。また、新たな形のブティックホテルやラグジュアリー施設への転換など、ニーズに合わせたリブランドが促進されると考えられます。
10-3. 最後に:M&Aは新たな未来を切り開く手段
ホテル・旅館業界にとって、M&Aは単なる「事業の売買」ではなく、新たな資本や運営ノウハウを取り込み、経営をさらに発展させる大きなチャンスです。事業承継問題の解決や地域活性化にも寄与する手段として、今後ますます活用が広がるでしょう。
「ホテル・旅館業界M&A総合センター」は、そうした未来志向のM&Aを後押しするために、売り手手数料ゼロの仕組みを提供し、経営者が安心して相談できる環境を整えています。もしホテル・旅館の事業承継や売却を検討しているのであれば、まずは無料相談から始めてみることをおすすめします。施設の現状を客観的に評価し、買い手候補とのマッチング可能性や最適なスキームについて具体的なイメージをつかむことで、新たな一歩を踏み出せるかもしれません。