沖縄でリゾートホテルや小規模宿泊施設の譲渡を検討するとき、一般的なホテルM&Aの論点だけでは十分ではありません。航空便への依存、台風による欠航や休館、長い塩害環境、島ごとの人材採用、繁閑差、インバウンド需要、土地・建物の権利関係、修繕費の水準など、沖縄特有の条件が収益性と企業価値の双方に影響するためです。
一方、観光需要の回復や国際線の再開、長期滞在・ウェルネス・ワーケーションなどの需要は、運営改善や新しい顧客層の獲得につながる可能性があります。重要なのは「沖縄だから高く売れる」「台風があるから評価が低い」と単純化せず、施設ごとの実績、立地、建物状態、運営体制、将来投資を資料で説明できる状態にすることです。
本記事では、沖縄のホテルM&A・旅館M&Aを検討する譲渡企業様と買収希望企業様に向けて、観光需要の読み方、台風・季節性・航空需要の評価、デューデリジェンス、企業価値評価、許認可、従業員、OTA、設備投資、不動産、金融機関対応、成約後の引継ぎまでを実務順に解説します。法務・税務・労務・許認可に関する記載は一般情報であり、個別案件では弁護士、税理士、社会保険労務士、行政書士その他の専門家への確認が必要です。
沖縄のホテルM&Aで最初に押さえるべき市場の見方
沖縄県の公表資料によれば、2024年度の入域観光客数は995万2,700人で、過去最多だった2018年度の99.5%まで回復したとされています。また、2025年の月次統計では前年同月を上回る月も確認され、国内客だけでなく外国客の回復も進みました。ただし、この数字は県全体の動向です。那覇、本島中南部、本島北部、宮古、八重山、久米島などでは、交通手段、滞在目的、客層、季節性が異なります。
たとえば那覇市内の宿泊施設は、観光に加えてビジネス、航空便の前後泊、離島乗継、イベント需要を取り込みやすい一方、客室供給と価格競争の影響を受けます。本島西海岸のリゾートは、海浜レジャーや家族旅行、団体旅行、婚礼、MICEなど複数の需要を持ち得ますが、プール、外構、植栽、送迎車両など維持対象が多くなります。本島北部ではテーマパークや自然観光への期待がある一方、那覇空港からの移動時間、レンタカー依存、従業員確保を検討しなければなりません。
宮古・八重山では、島そのもののブランド力が宿泊需要を支える一方、航空座席数、船便、台風時の物流、建築費、資材調達、人材住宅が経営に直結します。沖縄県が公表した2025年の八重山入域観光客数は150万6,052人で、前年比5.6%増とされています。しかし、島別・月別の増減は一様ではありません。企業価値評価では県全体の観光客数を売上計画へそのまま当てはめず、自施設の商圏と予約経路に落とし込む必要があります。
譲渡を検討する企業様は、直近3~5年について、月別の稼働率、ADR(平均客室単価)、RevPAR、宿泊者数、国内外比率、予約経路、キャンセル率、連泊率、客室以外の売上、休館日数を並べましょう。需要回復が自施設へどの程度反映されたかを説明できれば、買収希望企業様は県全体のニュースではなく、対象施設固有の収益力を評価できます。
「観光客数が増えた」だけでは企業価値を説明できない
入域観光客数が増えても、航空運賃の上昇、宿泊施設の新規供給、OTA広告費、食材費、光熱費、人件費が同時に上昇すれば、利益が同じ割合で増えるとは限りません。逆に、客数が横ばいでも、直販比率の向上、客室タイプの再編、最低宿泊日数の設定、レベニューマネジメント、付帯売上の改善によって利益率が高まる場合があります。
そのため、M&Aでは売上高だけでなく、GOP、調整後EBITDA、客室清掃費、リネン費、OTA手数料、送迎費、修繕費、販売促進費などを月別に確認します。オーナー個人の経費、臨時休館、災害復旧費、一過性の補助金などが含まれる場合は、根拠資料を付けたうえで正常収益へ調整します。過度に楽観的な調整は避け、買収後も再現可能かを説明する姿勢が重要です。
航空便・クルーズ・島内交通をどう評価するか
沖縄の宿泊需要は、航空便の供給量と運賃、路線構成に大きく影響されます。那覇空港は国内外の玄関口であり、宮古・石垣などへは直行便と那覇乗継の双方があります。新規就航や増便は機会ですが、特定航空会社・特定路線への依存が大きい施設では、減便や機材小型化が稼働へ影響します。
デューデリジェンスでは、宿泊者の発地を都道府県・国籍別に把握し、主要路線との関係を見ます。予約データに便名まで保持していない場合でも、チェックイン時刻、前後泊、送迎予約、アンケートから傾向を確認できます。インバウンドについては、国・地域別の構成と予約リードタイム、キャンセル条件、決済手段、言語対応を整理します。単一市場に偏る場合、外交・為替・航空路線の変化に対する感応度を検討します。
クルーズ客は地域の飲食・物販・観光施設には重要でも、必ずしも宿泊売上へ直結しません。港からの導線や寄港時間、前後泊需要との関係を分けて考えます。レンタカー不足、バス運転手不足、タクシー待ち、駐車場容量も顧客満足度を左右します。施設が送迎を行う場合は、車両の所有・リース、保険、運転者の資格・勤務時間、運行管理を確認してください。
交通リスクを事業計画へ反映する方法
買収後の計画では、通常ケースだけでなく、航空座席が減るケース、台風による欠航が重なるケース、国際線回復が遅れるケースを作ると実務的です。各ケースで稼働率とADRを同時に楽観化せず、売上、変動費、固定費、運転資金、借入返済への影響を確認します。
譲渡企業様は、過去に減便や欠航が発生した月について、予約取消、日程変更、無償キャンセル、館内売上、追加宿泊の実績を提示するとよいでしょう。「悪天候で売上が落ちた」という説明だけでなく、何日、何室、いくらの影響があり、どの対応で損失を抑えたかを示せば、危機対応力も評価対象になります。
台風リスクは「回数」ではなく損益と復旧力で見る
沖縄のホテルM&Aでは台風が必ず論点になります。しかし、台風の接近回数だけを数えても企業価値評価にはつながりません。確認すべきなのは、休館判断、予約キャンセル、追加滞在、従業員の安全確保、停電・断水、通信障害、食材在庫、設備被害、保険、復旧日数、顧客への情報発信です。
譲渡企業様は、少なくとも過去5年の台風対応記録を整理してください。接近日、営業可否、欠航便、宿泊者数、キャンセル室数、売上影響、追加費用、損害箇所、保険金、復旧完了日を一覧にします。発電機、蓄電池、受水槽、止水板、シャッター、飛散防止、非常食、衛星通信などの設備は、仕様、点検日、燃料備蓄、稼働可能時間まで確認します。
特に離島では、台風通過後も船便の再開が遅れ、食材、リネン、修繕部材が届かないことがあります。冷凍・冷蔵庫の容量、保存食の運用、仕入先の分散、廃棄ロス、従業員の宿泊場所も事業継続計画に含めます。非常用発電機があっても、全館空調や厨房設備まで動かせるとは限りません。負荷対象を図面と実地確認で把握する必要があります。
保険契約と災害履歴の確認
火災保険、企業財産保険、休業補償、賠償責任保険などについて、補償対象、免責金額、風災・水災の条件、保険金請求履歴を確認します。近年は保険料や免責条件が変化することがあるため、過去の保険料を買収後も維持できるとは限りません。保険契約が株式譲渡後も継続するか、事業譲渡の場合に新規契約が必要かは、保険会社・代理店へ事前に確認します。
災害復旧費を過去損益から除外するだけでなく、平時に必要な防災投資を将来設備投資へ含めることが大切です。屋上防水、外壁、サッシ、看板、植栽、プール設備、非常電源などの更新時期を計画し、買収価格と別に必要資金を確保します。
季節性を正しく測る12か月の収益分析
沖縄は夏だけが繁忙期とは限りません。施設の客層によって、春休み、ゴールデンウイーク、夏休み、連休、年末年始、プロ野球キャンプ、スポーツ大会、修学旅行、婚礼、ダイビング、ホエールウォッチングなど異なるピークがあります。梅雨、台風、航空運賃、学校日程の影響も受けます。
月次損益では、稼働率、ADR、RevPARに加え、平均宿泊日数、1室当たり人数、朝食喫食率、レストラン売上、アクティビティ売上、物販売上、宴会・婚礼売上を確認します。費用面では、季節雇用、派遣、寮費、水道光熱費、プール管理、植栽、害虫対策、送迎、販譲渡企業数料を見ます。年間合計だけでは、資金不足が生じる月や、利益を稼ぐ月が見えません。
繁忙期の最大売上より、閑散期の固定費負担と運転資金の厚みが買収後の安定性を左右します。予約金や事前決済の入金時期、OTAからの送金サイト、カード会社の入金、旅行会社の売掛金、仕入支払、賞与、税金、借入返済を月別資金繰り表へ反映します。台風キャンセルで返金が集中する場合、売上減少と現金流出が同時に起こる点にも注意が必要です。
季節性を価値向上の余地へ変える
買収希望企業様が異なる送客基盤を持つ場合、閑散期に長期滞在、教育旅行、企業研修、スポーツ合宿、ワーケーション、ウェルネスを組み合わせられることがあります。ただし、需要を想定するだけでは不十分です。客室設備、会議室、通信環境、食事提供、ランドリー、送迎、人員配置、周辺体験の受入能力を確認します。
譲渡企業様は、過去に実施した閑散期施策の広告費、予約数、単価、粗利、リピート率を残しておきましょう。成功施策だけでなく、反応が乏しかった施策も買収後の重複投資を防ぐ情報になります。
塩害・高温多湿・設備投資をデューデリジェンスする
海岸に近い沖縄の宿泊施設では、塩害による金属部の腐食、室外機・給湯機・受変電設備・手すり・建具・車両の劣化が進みやすい場合があります。高温多湿は、カビ、結露、防水、配管、厨房、リネン、客室臭にも影響します。外観がきれいでも、機械設備の残存年数や保守体制に課題が隠れていることがあります。
建物・設備DDでは、建築確認、検査済証、図面、増改築履歴、修繕履歴、法定点検、消防設備、エレベーター、受変電、空調、給排水、給湯、防水、外壁、厨房、浄化槽、井水、プールを確認します。メーカー、型式、設置年、保守契約、故障履歴、交換部品の入手可能性を設備台帳へまとめます。
離島では工事会社の手配、資材輸送、職人の宿泊が必要となり、本土や那覇市内と同じ単価・工期で修繕できないことがあります。見積書は可能な限り現地条件を反映したものを取得し、予備費も設けます。客室改装時に全館休館が必要か、フロア単位で工事できるかによって休業損失も変わります。
修繕費と設備投資を混同しない
日常修繕は通常の営業費用として扱われますが、建物価値を高める大規模改装や設備更新は設備投資として計画されます。過去に修繕を抑えて利益が高く見えている場合、買収後に更新費が集中します。反対に、直近で大規模改装済みであれば、工事内容、保証、資産計上、補助金条件を確認したうえで将来負担の軽さを説明できます。
企業価値評価では、正常収益を算出した後、必要設備投資を別途考慮します。「築年数が古いから一律に減額」ではなく、維持管理の質、主要設備の更新、客室商品力、法令適合、工事期間中の営業影響を個別に評価することが合理的です。
従業員・社宅・住み込み人材の承継
沖縄の宿泊施設では、人材確保が企業価値に直結します。支配人、料理長、設備担当、レベニューマネージャー、フロント、清掃責任者など、特定人物へ業務が集中している場合、その方の継続意向と引継ぎ計画が重要です。離島や本島北部では、社宅・寮・送迎・自家用車の有無が採用競争力を左右することがあります。
労務DDでは、雇用契約、就業規則、賃金台帳、勤怠、残業、休日、社会保険、有給休暇、外国人雇用、派遣・業務委託、健康診断、労災、ハラスメント窓口を確認します。寮については、所有・賃貸の別、定員、入居規程、家賃負担、光熱費、修繕、通勤手段を整理します。従業員情報は個人情報であるため、M&Aの検討段階では必要性に応じて匿名化し、開示範囲と管理方法を定めます。
株式譲渡では雇用主である法人が原則として存続しますが、経営方針や労働条件の変更には適切な手続と説明が必要です。事業譲渡では雇用契約の承継に個別同意が必要となるのが一般的です。どのスキームでも、従業員への公表時期、説明者、FAQ、個別面談、キーパーソン保持策を準備します。個別の対応は専門家へ確認してください。
現場の暗黙知を引き継ぐ
台風時の客室移動、島内業者への緊急連絡、常連客の嗜好、送迎ルート、潮位や風向による外構管理など、マニュアルに書かれていない知識があります。成約後100日計画では、部署別の業務棚卸し、年間行事、主要連絡先、トラブル事例、判断権限を文書化します。経営者だけでなく、現場責任者からの引継ぎ時間を確保することが重要です。
OTA・直販・予約データの確認
沖縄のリゾートホテルでは、OTA、旅行会社、航空会社のダイナミックパッケージ、自社サイト、電話予約など販売経路が多様です。チャネル別に、売上、客室単価、手数料、キャンセル率、リードタイム、連泊率、国籍、プラン構成を確認します。特定OTAの露出に依存している場合、アルゴリズムや広告費の変化が売上へ影響します。
契約書では、名義変更、運営会社変更、振込口座、口コミ、写真、プラン、在庫連携、ポイント負担、未払手数料を確認します。事業譲渡ではアカウントや口コミを当然に引き継げるとは限りません。株式譲渡でも、代表者・口座・本人確認情報の更新が必要になることがあります。主要OTAへ早めに確認し、販売停止期間を最小化します。
PMS、サイトコントローラー、POS、顧客管理、決済、スマートロック、Wi-Fi、会計システムの契約関係も一覧化します。宿泊者名簿、パスポート写し、メールアドレス、食物アレルギー、決済情報などは個人情報・機微な運用情報を含みます。利用目的、保管期間、アクセス権、委託先、バックアップ、削除手順を確認し、承継可能性は契約と法令に照らして専門家へ確認してください。
口コミとブランド資産を分けて考える
口コミ点数は重要ですが、ブランド、運営者、施設名が変わると同じ評価を維持できるとは限りません。高評価の理由が眺望、接客、朝食、アクティビティのどこにあるかを口コミ内容とアンケートで分析します。特定スタッフの接客に依存していれば人材承継が優先課題です。建物や立地への評価なら、改装で魅力を損なわない設計が必要です。
許認可・不動産・地域関係を確認する
宿泊施設の営業には、旅館業法上の許可をはじめ、飲食店営業、酒類、温泉利用、プール、消防、建築、屋外広告物など複数の制度が関係する場合があります。許可名義、営業範囲、客室数、定員、構造設備、変更届、更新・承継手続を確認します。株式譲渡と事業譲渡では必要手続が異なるため、所管行政庁と専門家へ事前相談が必要です。
不動産は、所有権、借地、建物賃貸借、信託受益権などスキームを確認します。登記、境界、接道、地目、用途地域、建ぺい率・容積率、増築、越境、抵当権、賃料改定、更新、譲渡承諾、原状回復を調べます。海岸近接地では、護岸、崖、排水、高潮・浸水、土砂災害などのハザード情報も確認します。
沖縄では地域住民、観光協会、自治体、漁業関係者、ビーチ管理者、体験事業者、タクシー・バス会社、食材生産者との関係が運営を支えることがあります。契約書がない協力関係でも、誰と何を調整しているかを関係者マップへ整理します。M&A後に一方的に条件を変更せず、地域への説明と信頼継続を計画します。
補助金・助成金・優遇制度の注意点
施設整備や省エネ、雇用、観光コンテンツに補助金等を利用している場合、財産処分制限、目的外使用、報告義務、雇用維持、返還条件を確認します。M&Aスキームや設備処分によって手続が必要になることがあります。「補助金を受けた設備だから自由に譲渡できる」とは限りません。交付要綱、申請書、実績報告、検査記録をそろえ、所管機関と専門家へ確認します。
沖縄のホテルM&Aにおける企業価値評価
宿泊施設の評価では、収益力、不動産価値、ブランド・顧客基盤、従業員、将来設備投資、借入金、運転資金などを総合的に見ます。中小規模の案件では、調整後EBITDAへ一定の倍率を適用する方法、将来キャッシュフローを現在価値へ割り引くDCF法、時価純資産を基礎にする方法などが検討されます。どの方法が適切かは施設の規模、保有不動産、収益安定性、再投資の必要性により異なります。
沖縄固有の評価調整として、台風休業、保険料、塩害修繕、物流費、人材寮、航空需要、繁閑差を反映します。好調な直近数か月だけを年換算せず、少なくとも通年実績を確認します。感染症拡大期など異常年を除外する場合も、回復後の実績と将来計画を丁寧に説明します。
譲渡企業様は、価格希望を先に固定するより、資料整備を通じて正常収益と将来投資を明らかにすることが重要です。買収希望企業様も、修繕負担をすべて減額要因とするのではなく、改装後の単価向上、直販強化、共同購買、人材交流など自社シナジーを別途評価します。価格だけでなく、従業員雇用、屋号、経営者保証、引継ぎ期間、地域関係などの条件を含めて合意を目指します。
簡易的な検討を始めたい場合は、当サイトのホテル・旅館の企業価値診断をご利用ください。診断は目安であり、最終的な価格や税務上の評価を保証するものではありません。
買収価格とは別に確保したい資金
買収代金だけで資金計画を作ると、成約後の運営に支障が出ます。仲介・FA、弁護士・会計士等の費用、税金、登記、許認可、システム切替、看板変更、採用、寮整備、修繕、保険、運転資金、返金対応、リブランド費を見積もります。台風シーズン前に成約する場合は、非常用備蓄と防災点検も初期施策に含めます。
金融機関・リース会社・債権者への対応
借入金がある場合、担保、経営者保証、財務制限条項、チェンジ・オブ・コントロール条項、期限の利益、繰上返済条件を確認します。株式譲渡でも、金融機関の事前承諾や報告が必要となることがあります。事業譲渡では、借入金や担保をどのように扱うかを個別に設計します。
客室設備、厨房、ランドリー、車両、コピー機、通信機器がリース・割賦の場合、契約名義、残債、解約、承継、所有権、撤去費を一覧化します。太陽光設備や通信アンテナなど第三者設備が敷地にある場合も契約を確認します。無断で名義変更や処分を進めず、相手方との調整期間をスケジュールへ織り込みます。
金融機関には、単なる売却理由ではなく、事業継続性、買収希望企業様の信用力、返済計画、担保、従業員・地域への影響を説明します。後継者不在を理由とする譲渡でも、早期に準備を始めれば選択肢が増えます。ただし、秘密保持が必要な段階での情報共有範囲は、M&Aアドバイザーや専門家と相談してください。
譲渡企業様が準備したい資料一覧
沖縄のホテル売却・旅館売却を円滑に進めるには、次の資料を早めに整理します。すべてを最初から買収希望企業様へ開示するのではなく、秘密保持契約締結後、検討段階に応じて開示範囲を広げます。
- 会社概要、株主、組織図、沿革、関連会社、許認可一覧
- 直近3~5期の決算書、税務申告書、月次試算表、部門別損益
- 月別の稼働率、ADR、RevPAR、宿泊者数、連泊率、キャンセル率
- OTA・直販・旅行会社・団体・法人別の売上と手数料
- 国内外、国籍、発地、旅行目的、客室タイプ別の顧客構成
- 建物図面、登記、賃貸借、修繕履歴、設備台帳、法定点検
- 台風対応履歴、休館日、被害、保険請求、復旧費、BCP
- 従業員一覧、雇用契約、勤怠、社宅・寮、派遣・委託契約
- 借入金、担保、保証、リース、割賦、補助金・助成金
- PMS、サイトコントローラー、POS、決済、顧客データの契約
- 仕入先、清掃、リネン、廃棄物、送迎、体験事業者との契約
- 苦情、事故、訴訟、行政指導、労災、個人情報事故の記録
資料に不足や過去の不備があっても、隠すことは適切ではありません。現状、影響、改善策、必要費用、対応期限を整理して開示します。正確な情報開示は、表明保証や補償をめぐる成約後の紛争を減らすことにつながります。
ホテルM&Aの進め方と沖縄案件のスケジュール
一般的には、初期相談、簡易評価、資料準備、候補先探索、秘密保持契約、企業概要書の提示、面談、意向表明、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、決済、引継ぎの順で進みます。詳しい全体像はホテルM&Aの流れをご確認ください。
沖縄案件では、現地調査の移動日、繁忙期、台風シーズン、工事会社・専門家の手配、行政への事前相談を考慮します。客室を見学するために販売停止を増やすと売上に影響するため、代表客室、バックヤード、機械室、屋上、外構を効率よく確認できる日程を作ります。天候により延期する予備日も設定します。
基本合意前には、価格レンジ、スキーム、独占交渉、経営者保証、従業員、屋号、不動産、想定引継ぎ期間を確認します。デューデリジェンスでは、財務・税務・法務・労務・事業・不動産・建物設備・IT・許認可を案件規模に応じて実施します。指摘事項は、価格調整、前提条件、誓約、表明保証、補償、エスクロー、成約後対応へ振り分けます。
成約後100日で優先すること
成約直後にすべてを変えると、従業員の離職や予約現場の混乱につながります。初日は権限、資金、緊急連絡、顧客対応を確実にし、30日以内に安全・法令・資金繰り・人員配置を確認します。60~100日で販売戦略、購買、システム、修繕計画を更新します。
沖縄では、台風対応責任者、非常用電源、備蓄、送迎、従業員寮、仕入物流を早期に点検します。OTAの振込口座や決済端末の切替で入金が止まらないよう、旧運営と新運営の役割、移行日、テスト、例外処理を決めます。顧客への案内は、屋号やサービスが変わる場合に必要十分な情報をわかりやすく提供します。
沖縄のホテル売却で起こりやすい失敗と対策
失敗1:県全体の観光回復だけで強気の計画を作る
県全体の観光客数と自施設の売上は同じ動きをするとは限りません。対策は、自施設の月次運営指標と市場統計を分け、航空路線、客層、競合供給を踏まえた複数シナリオを作ることです。
失敗2:台風被害を一過性費用として除外するだけ
復旧費を除外して正常利益を高く見せても、防災投資や保険料を無視すれば再現性がありません。対策は、被害履歴、休館日数、保険、復旧力、将来設備投資をセットで示すことです。
失敗3:塩害設備の更新を成約後へ先送りする
買収後すぐに空調や給湯が故障すれば、休室と口コミ低下が重なります。対策は、主要設備台帳と現地調査を行い、優先順位、費用、工期、代替運用を決めることです。
失敗4:人材と寮を別々に評価する
雇用条件が維持されても、寮が承継できなければ勤務継続が難しくなる場合があります。対策は、従業員、住居、通勤、送迎を一体で確認し、個人情報を適切に管理しながら引継ぎ計画を作ることです。
失敗5:OTAアカウントや口コミが当然に移ると考える
契約主体や施設名が変わると、審査や再登録が必要になる場合があります。対策は、各事業者へ事前確認し、販売在庫、決済、口座、写真、口コミの扱いを移行表へまとめることです。
譲渡企業様・買収希望企業様の確認チェックリスト
譲渡企業様は、次の質問に答えられる状態を目指してください。
- 沖縄県全体ではなく、自施設の需要回復を示す月次資料があるか
- 台風による休館、返金、被害、保険金、復旧日数を説明できるか
- 今後5~10年の主要設備更新と概算費用を把握しているか
- キーパーソン、寮、通勤、派遣・委託を含む人員体制を説明できるか
- OTA、直販、旅行会社、航空商品別の利益貢献を把握しているか
- 許認可、不動産、借入、リース、補助金の承継条件を確認したか
- 地域関係者と誰がどのように連絡・調整しているか整理したか
買収希望企業様は、次の点を確認してください。
- 航空座席、運賃、競合供給が変化した場合の損益耐性
- 災害時の安全確保、非常電源、物流、保険、運転資金
- 塩害・高温多湿を踏まえた修繕計画と休業損失
- 買収後に残る人材と、追加採用・社宅整備の必要性
- 顧客データ、口コミ、予約、決済の移行可能性
- 地域・環境への配慮と、観光需要を地域価値へ還元する運営方針
- 買収代金以外に必要な設備投資、運転資金、専門家費用
まとめ:沖縄のホテルM&Aは地域特性を数字と資料へ変える
沖縄のホテルM&Aでは、観光需要の回復という機会と、台風、航空依存、季節性、塩害、人材・寮、物流という運営条件を同じテーブルで評価することが重要です。地域特性を印象論で語らず、月次運営指標、災害履歴、設備台帳、人員計画、契約、将来設備投資へ落とし込めば、譲渡企業様と買収希望企業様の認識差を小さくできます。
また、価格だけでなく、雇用、屋号、地域関係、顧客体験、買収後の投資余力を含めた承継設計が欠かせません。法務・税務・労務・許認可・個人情報・金融機関対応は案件ごとに条件が異なるため、必ず専門家と所管機関へ確認してください。当社は中小M&Aガイドラインの遵守方針を掲げ、情報の適切な取扱いに努めています。個人情報等の取扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。
沖縄のホテル・旅館・宿泊施設の譲渡や事業承継を検討している企業様は、準備段階でも譲渡企業様専用お問い合わせフォームからご相談いただけます。買収を検討する企業様は買収希望企業様向けお問い合わせフォームをご利用ください。施設名を公開しない初期相談から、資料整理、候補先探索、条件交渉、引継ぎまで、案件の状況に応じて検討を進めます。


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